SORANORINGO

詩と日々。

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

作家で、生き方に追いつめられて小説を書いていない人っていんちきだと思う。やはり文はその人の人生そのものであってほしい。 ~よしもとばなな~

楽器の呼び声

あたたかな太陽と やわらかな草原が 青い霧を吸いこんでいく瞬間 彼は コーラを飲みながら ひとり 空へと降りていった リンゴンベリーの音楽を 恋人に届けるために 静かに佇む透明な椅子を 世界中の丘に届けるために

それぞれの人が 自分の魂にそって生きていく その姿が人を勇気づける

小さな画廊

陽射しがおだやかに射し込んでいる夢の中の小さな画廊どの絵も作者は違うけれど深くて静かな魂の一体感がある その中の1枚の絵を見ていると私の魂が懐かしく光るのが分かった心のどこかでずっと探していたのかもしれない 夢の中の小さな画廊私の1番大切な場…

魂の樹

魂の樹 いつからそこに生えていたのか 誰も知らない いつも静かに待っていた 自分の声に気づくものを ある日ひとりの旅人がやってきて 疲れた体をそっとに樹にあずけた 魂の樹 旅人の中に なつかしい光を感じた 「この人だったら 私の声が届くかもしれない」…

深い森

深い森の中で 君のことを想ったら やわらかな苔が 燃え立つ赤にそまった 私の心の中には 深く静かな苔色が ひろがった

緑の実と金の実

金色の秋の日には やわらかな緑を ちょっとだけ思ったりする そら豆みたいなさ そら豆って つるつるのふかふか そんな感じを ちょっとだけ思ったりする やわらかな緑の日には 金色の秋の実を ちょっとだけ思うように

空の味

空をなつかしく思う時 小さく光った味がする 小さな頃をなつかしく思う時は 甘くしみこむ空の味 空をすくうためのスプーンなんて とっくにないけど 思ってたほどさみしくない 透明な問いから生まれた 小さなスプーンよりも光るもの 手の中で静かに歌いはじめ…

いつもの朝のとなりには 永遠に続く朝がある 小さく光るパンがならび 永遠に響く草原の風が 静かにかなしみを記録する 「朝の境界線に触れると 小さな傷がのこるんだよ」 今日も飛びたがる珈琲を飲みこんで 何も書かれていない文字を追う 永遠に続く朝のとな…

月を甘く抱き込んだ 湖の中に見えたものは 月の蒼い光を受けて 水の中で咲きつづける白い花 きっと夜のしわざなのだろう 今 ひっそりと私の中でも花が咲いた 君を想う度に私の中の夜が息づく

ただ泳ぐだけの時間 ほどけた靴紐にふれると 百合の匂いの旋律が空にこぼれていった 今日もまた ほどけた靴紐だけが残される 夢の音が響いてふりむくような そんなことのくり返し

風と珈琲

風が久しぶりに遊びに来たので 珈琲を淹れる 風の珈琲の好みは 黒砂糖とミントの葉をちょっぴりに 牛乳をたっぷり 私も同じのを飲むことにする 風は楽しそうに たくさんの話をした たとえ同じ話を 何回聞いたって飽きない 風の話はいつだって 世界のにおいが…

詩人

絵の中を 詩人が歩くのを見ていた すこしさみしげで 自由そうな微笑み 詩人と画家との約束は 草原色の雲の上でかわされる

素敵な本。